茶杓作り

竹を割り 下削りをして 水に浸すこと5日
ローソクの火でゆっくり炙って枉げる

竹の組織に滲み込んだ水が熱せられ 竹の繊維を伸ばすのだろうか
裏側が裂ける直前まで枉げ 冷水で冷やすと枉げが固定する

今まではその後直ぐに削っていたが 紐などで固定すると良い
というので糸で縛って固定した


イメージ 1


櫂先は良さそうだが節下が反ってしまっている

熱して冷ました段階で形状は固定していると思うので
縛る必要はないと思いつつ

とりあえず1本はそのままにして他の竹を削り始めた

久し振り竹で茶杓を作って思ったことは…
竹は茶杓に向いているということ

小刀を入れて す~っと切れる
ただし繊維に逆らって削るのは難しい

茶杓は節下に向かって細くするものだから
絶妙な力の加減が要る

一度削ったものは元に戻らないため
一刀一刀 慎重に削る

慎重といっても勢いのない刃の跡は竹が生きて来ない
だから大胆に刃を入れるのだ

この矛盾する削り方が竹の茶杓作りの難しさであり
面白さでもある

難しさと言えば枉げも難しい
ローソクの炎で焦がさずに そして裏が裂けないように…

枉げが甘い茶杓は使い難いから 裂けるギリギリまで枉げる

さて能書きは良しとして充分に枉げた竹を大胆に削る
鉛筆で仕上がり線を引く茶杓師もいるそうだが 私は引かない

削りながら形を見て判断する
そして何より大切なのはバランスだ


イメージ 2


節裏を支点に均衡が取れること

この茶杓は やや太めに削ったが絶妙なバランスで
回しても落ちないし 櫂先の形や枉げもうっとりする

ただし元々キズがあって
普通なら削る前に捨ててしまうような代物だ

それを削ってみたら意外と良い景色になっていた
茶会前なのでお見せ出来ないことをご容赦願いたい