欲望その110

中央棟のヘリポートへ着き
ヘリから降りた途端 雨が降ってきた

私とVVIPのゲストは屋内へ駆け込んだ
見る間に雨は激しくなり 滝のように降ってきた

ガラス張りの通路の天井にも
大粒の雨が叩きつけられているが
室内から見ると それも気持ちよく
美しさ さえ感じる

さて VVIPを特別室へ案内する
コントロール・ルームの隣の小部屋だ

ここからでも サーキットが一望だ
というはずだったが
あいにくの悪天候で視界が悪い

バーベキューのご一行さんは どうしただろうか
スタッフが着く前に 不意の大雨に遭い
そそくさと片付けて帰ったかもしれない

しかし まだ ゲストルームの石庭で
バーベキューをされるよりは よかったかもしれない
庭石をかまど代わりに使われでもしたら台なしだ

それに 隣のゲストが露天風呂に入っているとき
焼肉の煙が漂ってきたら 情緒が失せる

夢御殿には バーベキュースペースがなかったので
そういうサイトを造ることにしよう

さて 特別室を出て 通路を通り
エレベーターホールへ向かう

通路はガラス張りだが
万一 ヘリが接触すると危険なため
ガラスの外側には
頑丈な柱と梁のストラクチャーがある

ゲスト用のエレベーターは3基
速度は毎分120メートル
地下1階地上4階建ての中層建築のため
ボタンを押してもあまり待たされることはない