求人誌の体験記者

バイト探しのため 求人誌を見ていたら 単発のバイトがあった
読者にいろいろな職業を体験してもらうという特集の記者

ウエイトレスや建築現場作業員などを1日体験した読者(記者)の写真とその体験談が掲載される
応募してみると早速採用の知らせがあった

私が体験する職業は 何と スカウトマンだった
タレントやモデルの卵を 街頭でスカウトする仕事

ちょっとトッポイなぁと思ったが 私の応募写真がそういう雰囲気だったのだろう
スーツを着て 銀座四丁目交差点できれいな女性を探す

ナンパじゃないかぁ これは・・・と思いつつ
きれいな女性を見つけるとアタックするが うまくいかない

根が真面目でプライドが高い私は ナンパをしたことがない
と言うよりも それまでの人生 女性から告白されて付き合うことばかりだった

一応 記事にしなければならないので 求人誌の女性スタッフが
モデルになって 私にスカウトされている写真を撮った

その後 タレント養成所のスタジオへ連れて行かされると 十数名のタレントの卵がレッスンを受けていた
皆 若くてきれいな女性ばかり・・・ 2名ご指名してと言われ 好みのタイプの2名を選ぶと
2人の肩に手を掛け 両手に花 といった具合で写真撮影
そして この日の体験を原稿用紙5枚位に書いて送った

後日 書店に並んだ求人誌を見ると予想通り にやけた私の写真があった
しかし記事を読んで驚いた・・・私が書いた原稿は まったく違うものになっていた

それはそうかもしれない
私の書いた原稿はおもしろくなかったのだろう

スカウトマンの体験談として求められていた内容は
自分が街でスカウトした女性が 将来有名タレントになるというストーリー

スカウトしてからも プロになるために厳しいレッスンがあり 挫折する人もいる
そんなときは応援して やがてプロとして世の中へ送り出す
女性を売り込む営業もしなければならない
ナンパっぽいイメージのスカウトマンも 実は大変なんだ ということだ

この仕事でいくら貰ったか忘れた



(余談)
スカウトされて養成所へ通うと レッスン料を払わされる
モデルとして雑誌などに出られるようになるまで 結構掛かるようだ