くりかえしあらわれる火

2011年11月5日から鎌倉画廊で始まった展覧会をご紹介します


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くりかえしあらわれる火

西元直子/赤塚祐二 

風が木を揺らして
あたりいったいが呼吸している
ちいさなわたしも
そのちからのひとつであって・・・
 
―絵画と言葉のコラボレーション―


2011.11.5(土)-12.25(日)
11:00-18:00 月火祝休



 この度、鎌倉画廊では画家・赤塚祐二(1955-)と、詩人・西元直子(1956-)の展覧会を開催致します。
私生活では夫婦であり、これまでにも西元の詩集に赤塚が挿画を入れるなど互いの創作活動に接点を持ち続けてきた二人ですが、画廊というひとつの空間で互いの作品を相関させるコラボレーションとしての展覧会は今回が初となります。

 油彩を中心に鎌倉画廊で過去4回の個展を開催した赤塚の作品は、塗り重ねられた絵具の層に混ざり合って浮き出した、または深く内側へ塗り込められた線や形象、色彩が、明確なかたちと見てとれない不可思議な輪郭などとあいまって作り出される独特の画面が特徴的で、近年、より具体的な形象を現すなど発表のたびに新展開を見せています。

 版画やドローイングにおいても、その赤塚独特の輪郭線を描き出すタッチは軽やかさも激しさも包括した強力な吸引力をもって観る者を惹きつけます。また、身体的な生々しい感覚を伴うような鋭い言葉で内面を描写し、自己や他者の存在、その関係性の確かさや曖昧さを掘り起こす西元の詩は、ごく身近で実存的な視点から叙情の風景へと、小さな穴を押し広げるかのようにその詩的世界を繰り広げていきます。

 今展のタイトルでもある「くりかえしあらわれる火」は西元が2007年に発表した詩のひとつで、二人はこの詩がもつ「日常性についての認識」をテーマに据えました。今展に合わせて作られた同タイトルの詩画集(詩と版画計約10点)のほか、赤塚の油彩、立体作品、ドローイングとそれに対応する西元の詩で構成し、「それぞれの作品が単純な互いの説明に陥らず、作品空間(絵画や立体)と詩空間、それぞれの眼差しからとらえたものを対峙・融合させることでさらなる空間を生み出すことができないか」という試みを画廊空間全体でのインスタレーションとして展示いたします。

 二人の作家は、言葉(詩)と絵画を別のものとしてではなく、「言葉もひとつのヴィジュアルであり、また絵画や立体も言葉を持つ」という視点に立ち、「ふたつの眼差しから見た世界をひとつの空間において、作品として新たな世界観に跳躍させたい」と言います。それぞれの言葉と作品がぶつかり合うなかで生まれる新たな展開を体感して頂きたいと思います。ぜひご高覧下さい。



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オープニングパーティーにて赤塚さんご夫婦と撮影しました