欲望その81

前の人へ続いて進んでいく
もうすぐ 出口だ と思いきや
その脇でカウンターを持って 人数を数えている係員がいる

さっき話した人が入ろうとしたところ 係員が制止した
どうやら定員があるようだ
出口だと思っていたが その先に何かあるらしい

しばらく待たなければならなさそうだ
これではパビリオンと同じじゃないか

あっちは待っている間
映像を見せたり ディスプレイがあったりして
退屈しないように造ってあるのだろう と
考えながら待っていると
いつの間にか 私の後ろには人が並んでいる

近道を選ぶ人は 後を絶たない
資格取得への近道 などという宣伝に釣られて
講座へ通ってみたものの
結局は自分の努力しかない と悟る

勉強しなければ受からない のは当然だ
ただし 近道と公言するだけあって
合格のノウハウを授けてくれる

試験は受かればよいのだ そして
資格さえを持っていれば 実務を知らなくても
名刺や履歴書に書ける

実務に就いてから覚えていけばいい

逆に 実務はできるが資格がない人も大勢いる
何度 試験を受けても合格しない
実務に忙しいため 試験勉強をする時間がない
でも 実務ができるから 資格なんてなくてもいい
と思っているが やはり
取れるものなら資格が欲しい だろう

こんなことを考えているうちに
係員が出てきて ゲストを中に誘導しはじめた
今度は間違いなく入れそうだ

扉の中の光景に 私はまたも自分の目を疑った