欲望その12

スポットに到達すると ある程度の広がりを感じられる空間に出る
しかし真っ暗でどれ位の広さなのかわからない
床・壁・天井が吸音する素材となっていて 声を出しても反響しない

私たちは光があるからこそ物体が見え
体の一部が何かに触れていることで位置を把握し
音で距離を確かめている

今まで照らされていたスポットライトが消え 一瞬暗闇に身を包まれる
感じるのは靴の底の床だけだ
身体障害者は補助人の存在を確かめるだろう

すると4~5メートル先の床がスポットライトで照らされる
水の回廊からの通路はいつのまにか閉ざされている
後戻りができないので 先に進むしかない

仕方なくスポットライトのところへ進むと真っ暗になり
また4~5メートル先の床がスポットライトに照らされる

この繰り返しで 光を頼りに闇の中を右往左往させられる

見えること と 見ること と 見なければならないことは違う

意識して見ることによって 見え方=入ってくる情報も変わっていく