欲望その174

夢御殿の建築を始めたとき 私は強欲で嘘つきな人間だった

欲望の赴くまま記述を続け

それがあたかも 人間の根底から発する創造だと錯覚していた

欲が虚構を生み 仮想空間で実現されると信じて疑わなかった


しかし ある時 この広大なインターネット社会で

私は竹林に住む女性に出会ってしまい 一瞬にして心を奪われてしまった


すると それまでの自分が恥ずかしく思えて

もっともっと 大きな心の人間になろう という気にさせられてしまった


虚勢を張らず 無理をしないで

自分に正直に生きていこう と思うようになった


心は自由に 世界を飛びまわれる時代だから

ここに居ながらにして 私は自由に空間を移動することができた

確かに 心は束縛されないかもしれない が

肉体あっての心だ ということがわかってきた


肉体を離れて成立する自由な心は 死 なのかもしれない


私は今の自分自身を省みて いかに自分が無力だということを思い知った

愛する人の幸せを願っているだけで

何もしてあげられない自分が ここにいる