欲望その29

3つ全部に触れると 中央が開く仕組みになっていたのか

壁の先にあったのは 普通の部屋だ
正確にいうと 白一色だ

普通ではないかもしれないけど 普通だと思った

なぜ 白が普通だと思ったのか

白も色のひとつだ ということに今まで気がつかなかった
白は 何もないニュートラルなもの という先入観があるが
白色も立派な色彩のひとつだ

部屋に入ると 扉が閉まり また閉じ込められたようだが
こんな状況にも慣れてきた

正直なところ 白は意外だった
赤~緑ときて 次は黄色か青かと思っていた

黄一色や青一色の部屋も体験したいな なんていう余裕さえでてきた

事務所の壁は ほとんどが白
学校で絵を描くとき 白い紙を渡される

白がなかったとしたら どうなるのか
それはあり得ないが もしそうだとしたら
息苦しい世の中になると思う

しかし 白一色の部屋というのも違和感がある
赤とは違うが 一面同色だというところが変なのだ

要するにバランスなのか

日本人は余白を大切にする民族だ
余白に空間を感じる らしい
余白は 余った白 と書く
余らせるところにも美学がある

また 白は神聖な色として扱われる ようだ
柔道着がカラー化されるとき かなりの抵抗があった
相撲で撒く塩も白だ(負けると白星だが)
花嫁衣裳も白だ

さて ここから出る方法を考える