欲望その101

石庭を眺めて入る露天風呂は
いつ入っても気持ちがいい が
やはり夕闇の頃が 一際情緒があっていい

西向きに配置してあるので
夕方に入ると 夕焼けを見ながら ゆっくり湯に浸かる
紅く染まった空は 次第に暗くなっていく

すると 石庭に照明が灯り 石を照らし出す
当初 石の配置に試行錯誤し
無機的に並べてみたが やはり気に入らず
並べ替えてみた

中心となる石を決め バランスを考えながら
ほかの石を置いていく
何となく その位置がよさそうだ と
思うところに 次々と石を置く

見る位置を変え 角度を微調整する
浴槽に入って見た時の構成
広縁で寛いでいるときに見える位置関係
昼間見たときの陰影 そして 夜間のライトアップ

見る時刻とそのときの天候により
石庭は表情を変える

なぜ こうした石の羅列に物語や小宇宙を感じるのだろう
やはり 私が 和の遺伝子を持っている ためか