欲望その4の4(左ウィング)

「なおちゃんにとって 本は大事なんだねー」

「ええ 人生の友・・・と言ったら大げさですか?」

「いや 本好きの人にとっては そうかもしれない」

「お兄さまは 何が好きなんですか?」

「んー クルマかな?」

「それじゃ たくさん集めるのは難しいですね」

「そう 無理・・・ たくさんあってもねー」

「今は何に乗っているんですか?」

「ホンダだよ」

「外国車ではないんですか?」

「前は乗ってたけど よく壊れるんだ・・・
 ちゃんとメンテしても いきなり止まることがある
 仕事で使うから それじゃ困るんだ
 日本車は壊れにくいから 安心して乗れる」

「あー エンコしているのは 大体外国車ですよね」

「そうそう・・・ おっと また話が逸れた」

「あら 今のはお兄さまが・・・」

「失礼・・・では続きを・・・
 駅舎の左ウィングは・・・なおちゃんのプライベートゾーン」

「図書館もプライベートでしょ」

「んー まあ 本当は公開した方がいいんだけど・・・
 こっちはプライベートゾーンと言っても 仲良しが来たとき泊まれるように
 ゲルトルームを何室か用意しようと思ってる」

「いいですね♪ 親友が泊まる専用の部屋にします」

「そうしたら・・・あと なおちゃんのベッドルームは どんな感じ?」

「音楽を聴きながら 寝たいですね」

「ちょうどいいね 駅が近いから完全防音のリスニングルームで寝る」

「音量を絞っても ちゃんと聴こえますか?」

「室内は完全防音にするから あとは アンプとスピーカーが大事だね
 高いけど いいオーディオ機器入れてね」

「読書にもいいですね 静かで」

「あと 何か要る?」

「えーと 小型犬がいるから そのケージかな?」

「室内で飼うんでしょ・・・ 犬小屋 必要?」

「んー 何となく その子の居場所を決めてあげたいから」

「何犬?」

「柴犬です」

「じゃあ なおちゃんのベッドルームに じゅうたん敷けばいいんじゃない?」

「まあ それでもいいんですけど」

「じゃあ そうしよう あとベッドルームの隣にバスルームで完成かな」

「キッチンとダイニングルームは どこにあるんですか?」

「あれ なおちゃん料理するの?」

「しますよー これでも結構上手なんですから」

「では なおちゃんのプライベートゾーンから 図書館へ行く通路を
 大広間の吹抜の2階レベルに造って・・・その一角をDKにしよう」

「そしたら 図書館からもベッドルームからも行きやすいですね」

「じゃあ ここにはダムベーターを付けて 1階でパーティするときに2階で作って運ぶ」

「それ いいですね」

「じゃあ これで完成! あっ 電車が来た!
 では私はこれで失礼させてもらうよ」

「あー お兄さまー 待ってぇ」

「ごめん 行くとこ あるから またね なおちゃん!」

「あーあ・・・ ガレージ造るの忘れて行っちゃったわ
 いつもは 真っ先につくるのに・・・」