その8(素朴な疑問)

「夢御殿さん こんにちは」

「ん? 誰?」

「私です」

「ん? 会ったことあったっけー?」

「いいえ」

「じゃあ わからないなー 誰なの?」

「誰でもいいじゃないですか ここは匿名の世界なんですから」

「ああ そうだね・・・で 何か用?」

「ちょっとお聞きしたいことがあって・・・」

「だったらゲストブックにコメント残してね ここは夢御殿だから」

「ご迷惑でした?」

「んー まあ いいけど ここは私の実験場だから」

「その実験についてなんですけど・・・」

「何? 早く言ってよ こう見えても忙しいんだから」

「すみません・・・あのー 夢御殿 書いてて空しくならないんですか?」

「ぜーんぜん!」

「はーっ さすが芸術家さんは違いますね」

「んー そうじゃないんだ・・・ 私の場合 ある程度 欲望が満たされてるから・・・
 実際に家あるしー クルマもあるしー 好きな芸術活動してるから」

「んー どこまで信じていいのかしら?」

「ここでは 現実と夢が交差してるんだよ・・・
 まあ 無限上昇建築は概念上のものだけど 吹抜のあるアトリエで実際に作業してる」

「ホントかなぁ?」

「別に 信じなくてもいいけど・・・でもさー 考えてみてよ
 夢と現実の世界を逆転させて生きることが出来ると思わない?」

「インターネットがメインで実社会がサブってこと?」

「そうそう・・・実社会は生命を維持するための食事と排泄・・・あとはインターネットがすべて」

「それってヤバくない?」

「でも 実際にそういう人が増えている・・・
 ネットで収入を得て ネットバンクに口座持って カード決済
 外に出るのはコンビニくらい あとは部屋でパソコンに向かっている」

「あー それ やっぱりよくないですよー」

「どうして? ネットのコミュニティに参加して 結構つきあいが広くて
 友達もたくさんいる・・・ 実際の社会で友達に会うのは年何回?」

「あまりないですよね・・・」

「でしょ! でもネットでは毎日交流してる」

「まあ 量より質っていうことも・・・」

「ネットのコミュニティは質が低いっていうの?」

「匿名性ゆえに無責任な人もいます」

「そうだけど 実社会にもいるよ 無責任な人」

「そう・・・ですけど・・・」

「でしょ! もうコミュニティはネット社会に移行してるんだよ
 セカンドライフがファーストライフになっていく・・・」

「ああ セカンドライフね おもしろそう」





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