油絵通信講座(その4 構図)

モチーフを見て あるいは自身の顔を見て テーマや見せ場を決めたら
それを効果的に見せる構図を考えます

絵は構図によって良し悪しが分かれる と言っても過言ではありません
画面の中での物の大きさ 配置が一番良い状態になるような構図を選びます

構図を決めるため エスキースに取り掛かります
エスキースとは weblio辞書に解説がありますので ご参考まで

その5で詳しく取り上げる予定ですが 描く時は姿勢が大事ですから
背筋を伸ばし 視点を固定するため頭を動かさないように気をつけてください

座る位置にも気を使います 数日に渡って描く場合 イスを置く位置がずれ
モチーフとの距離が近くなったり遠くなったり 左右にずれてしまうと形が狂います

さて 自画像の場合 鏡に映った自身のどこからどこまでを描くか考えます
F10号だと 胸元辺りまで入れ 肩は上腕で切るようになると思います

静物画の場合 例えばレモンが主役だからと言ってレモンを画面の中心に描くと 単純で作為的になります

構図を決める際 参考になる道具が デッサンスケール です

私は 親指と人差し指をL型にして両手でフレームを作り(ブログ左下のプロフィール画像のように)
描く対象の方へ向けて右目で見て 大まかな構図を決めます

大まかな構図を決めたら クロッキー帳に鉛筆でエスキースを描きます
物の細部は描かず 輪郭線で個々の物を描いて配置を把握します

その際 物と物の関係を見るのです 上下左右の位置関係がどうなっているか?

固く真っ直ぐで細い棒を持ち 腕を水平に伸ばしてモチーフの方へ向けます
その棒を水平にしたり垂直にすると 物の位置関係がよく分かります

デッサンスケールを使えば良いかもしれませんが 物の縦横比などを測る場合は
親指を立てて棒を持つのです

どんなに上手い人でも いや 上手い人こそモチーフを見て測ります
中には天才的な感覚を持ち 測らないでも正確な形が描ける人がいますが そういう人は例外です

さて 画面に形を描く時 意識すべき重要なことがあります

例えば画面に円を描くとします すると画面には2つの形が出来る ということが分かりますか?

ひとつは描いた円の内側の形 もうひとつは円の外側に出来る形です
領域と言った方が適切かもしれません

人は閉じられた内側の形を認識しがちで 同時に出来る外側の形は気にしないものです
しかし 内側の形は外側の形があって 初めて成立するのです

外側に出来た形は内側の形と比較して バランスが良いか?

次にもう一つ 円を描きます すると二つの円の大きさと位置のバランス
二つの円の内部と外部の領域の量感 二つに円に挟まれた領域の形の美しさ・・・

つまり 画面に物を描いていくことは バランスの良い領域を作っていくことなのです

バランスが良いというのは 奇数の構成とも言われています
中心があって左右に同数の物が配置されている つまり中心を作り易いのです
F10号位の大きさであれば 3つのポイントで構成する三角構図を用います

エスキースは 実際に描く油絵の構図よりも上下左右を含めて描き どこで切るか考えます

絵に描く場合は 実物より少し小さめに描くと自然とその物らしく見えますので
そのことを念頭に置いてエスキースに取り掛かってください
 
エスキースを描いて しっくりこないようでしたら構図を変え 納得がいくまで何枚でも描いてください