油絵通信講座(その6 目標)

これまで 油絵通信講座では描き方ではなく 物の見方 捉え方に始まり
私が考える基本的な取り組み方 姿勢などについて語ってきましたが
ここで 向かうべき方向に関して 少し触れておきたいと思います

絵画とは多様な表現があって然るべきです
だから 決して写実的に描けるようになることを目標にすることはありません
光と影で立体感を出し 透視図法で空間を作り出す西洋技法を真似る必要はないかもしれません

私は東京藝術大学に入学するため ある程度写実的に描けるようになる訓練をしましたが
趣味あるいは教養として油絵を描く人は そんなことをする必要はないでしょう

確かに 写実的に描けることは一種の才能だと思います
しかしそうなるには 技術の習得が必要であり 片手間で究めるのは難しいでしょう

ピカソは幼い頃 既に写実的に描くことを究め その先はどこへ向かったでしょうか?
いろいろな物の見方 捉え方を研究し 人の感情を描き出すことを追求したのではないでしょうか?

もっとも 巨匠として評価されたのは 写実的な作品あってのことだと思います
ピカソが後期のような作品をいきなり世に出しても 認められたかどうか・・・

私は写実的に描こうと思えば ある程度描ける自信があります でも そこで止まっているのです

身につけた技術が手かせ足かせになり その先に進むことを阻んでいます
でも この場でいろいろなことを考えて 写実の先にある道のひとつが見えたような気がします

それは 省略 です

物を省略して見るのです 記号化あるいは単純化と言い替えても良いでしょう
ピカソの後期作品は 省略化だったのかもしれないと思いました

省略しても伝わるのです 逆に省略化した方が伝わりやすいのかもしれません

私たち日本人は 物を平面的に見ることが出来るのです
そして 表情豊かな線を描くことが出来るのです