欲望その10の1 女流詩人編

また ここへ戻って来てしまった
夢と現実が交差する時空の歪み

無限に広がるインターネット空間で
尽きることがない欲望の赴くまま 造り続ける言説建築

見上げれば 無限上昇建築は雲を突き抜け
サーキットでは 電気自動車の耐久レースが開催されている

時代が変わっても 人間は変わらないのだろうか
500年前の人類は 今の社会を想像出来ただろうか
私たちは500年後の人類の姿や生活を想像出来るだろうか

ロボット技術が発達して人間の代わりに仕事をこなし
人々は遊んで暮らしているだろうか

地球環境が悪化して 人類の多くは滅びてしまうのだろうか
あるいは 宇宙で暮らすようになるのか





せんせ~い!

ん?

何ブツクサ言ってんの?

何だ みかちゃん

何だとは何よ

私のこと 先生って呼ぶの やめてくれない?

だって 最初からそう呼んでたから

私 先生って呼ばれるような人間じゃないから

そうねぇ

何だよ だったら呼ぶなよ

でも 今更変えられないわ

まあ いいか

ここ すごいわね 先生のおうち?

そう サーキットに美術館 スタジオもある

あの建物が特にすごいわね

あれは 美人建築家が造ったバベルの塔


そう 無限上昇建築

どこまでも伸びていくの?

そう 宇宙まで

じゃあ 上の方の人は宇宙で暮らしてるってこと?

そうだね

行ってみたいなぁ

じゃあ 行ったら?

そんなぁ 案内してくれないんですか?

うん 私は行かない

どうして?

禁煙だから

何それ~(笑)

代わりに私のプライベートスペースを案内するよ

見たい 見たい

まずガレージね 100台以上ある

すご~い

そう? まだ足りないと思って増築中

私も車庫いっぱい欲しいと思ってたけど

何台くらい?

30台くらい

メンテナンスが大変だよ

何言ってんですか 自分の方が多いくせに

専用のメカニックがいる

私もそうしよ

ガレージの隣はギャラリー

お ガレージはガラス張りで こっちから車を見れるんですか

そう それでこっちはショーケース

お 壁いっぱいの飾り棚

中には私のコレクション

先生 これ何?

それはアキバで買ったキティちゃんの缶詰らーめん

変な物 コレクションしてるんですねぇ

こっちはゲゲゲのジュース 妖怪の汗

もう結構です

じゃあ 次はこっち 書斎ね

おお 壁一面に本が

そう 円形になって本に囲まれて仕事をする

圧迫感ないですか?

吹き抜けになってるし 正面はガラス張りでしょ

あ 本当

ここ座って・・・ 竹林が見えるでしょ

ほんと 心が休まる感じ

創作意欲 湧いてきた?

うん 何か書きたくなった

で 疲れたら こっち

おお 露天風呂じゃないですか

石庭がいいでしょ

癒されそう

入る? 一緒に

何言ってんですか ぶっ飛ばしますよ

冗談だよ

冗談には聞こえなかったけど

あわよくば ってとこかな

先生も男なのね

まーね あ これこれ

何?

(続く)