打掛の解体
個展が始まったので 次の発表へ向け新作に着手した
先日 入手した打掛を解体する
解体する前に 婚礼衣裳としての役目を終えた打掛と対話…
貸衣装として何人の花嫁が着たのか分からないが
祝福を受けた喜びの衣裳を労い 糸を解いていく
そして この衣裳を縫った人へ敬意を表しつつ
縫いの仕事を見極める
この打掛は手縫いだった
和裁は手縫いが基本なのだが 最近はミシンで縫われている着物が圧倒的に多い
私がこれまでカスタマイズした打掛10点のうち 手縫いは1点だけだった
大量生産は機械によって成し得た
そして 大量生産によって価格が抑えられ より多くの人々が
良質の品を手にする機会が増えた
しかし一方で
利益優先の経済構造が出来上がり 私たちは大事なことを見失いつつある
個人の自立したアイデンティティは どこへ行ったのだろうか?