茶会「裏窓の灯」@スマートイルミネーション横浜2016

(茶会記)

省エネ技術とアートによって新たな横浜の夜景創出を目的としたスマートイルミネーション横浜での一夜限りの茶会。象の鼻テラスの裏窓に相当するショーウィンドー内に席を設けました。ここへお客様が入るのは初めてのことでしたので、階段を作りました。

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ショーウィンドー内の幅は約74cm。柱の間は僅か27cmで、茶席に入るため横向きでやっと通れるほどです。

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立礼卓も74cmの幅で制作したもので、一客一亭の流し点(裏千家)に準じました。流し点の立礼はありませんので、それもこの空間独自のものです。

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茶席の隣に水屋棚を設け、点前は私が電飾白無垢スーツで致しました。客席に座るとガラス越しにみなとみらいの夜景と私の電飾の反射が見えます。ウィンドー内は狭さを感じないほど開けています。

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茶碗は萩焼御本手(萩殿窯)と鍋島焼青磁(青山窯)を交互に、棗は桑木地と朱塗りを交互に用いました。中央に虫喰いの富士釜(古物)、水指は朝鮮唐津(阿漕焼)です。…阿漕(あこぎ)は強欲であくどいという意味で使われますが、その由来は伊勢神宮へ献上する魚を獲るため禁漁区域に指定されていた所で、阿漕の漁師が度々密漁して捕えられたということです。欲張らず、世のため人のために生きられるようになりたいものです…という思いを込めて掛物は「吾唯足知」の色紙にしました。

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菓子は富山おがやの「ぎんなん餅」、菓子皿はLEDと銀杏の葉を入れたCDケース、餅が銀杏の葉の色に染まっています。菓子切りは私が竹で削った物で、お客様各自にお持ち帰り頂きました。銀杏にはいわゆる花がありませんので、花の代わりに葉を飾ったという次第です。そして、卓上には銀杏に纏わる物がもう1点… 銀杏の枝を削った茶杓です。

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窓の外には大勢の観客がいたようですが、私には見えませんでした。ヒッチコック作の映画「裏窓」のように、人の視線を気にせず普段のままの自分で茶を点てられたと思います。ありがとうございました。

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