欲望147の6

あー 痛い 頭がズキズキする…



ねえ 大丈夫?



(あれっ 美人建築家さんの声が聞こえる… これは夢かな?)



ねえ しっかりしてください!



ああ あなたは… よかった 無事で…

ここはどこ?



牢獄よ しかも 私が造った



ろうごく… ああ 痛たたた…



(目を開けると そこは美人建築家さんがいた

 しかも バスローブ姿で…)



んー いい光景…



どこ見てるの いやらしい



ああ 失礼! でも その姿じゃ… 目のやり場に困るよ





(私は 目を逸らし 周囲を見回した 確かに牢獄のようだ

 自分で設計した牢獄に 自ら入るとは思っていなかっただろうに…)





そう言えば 名前 何ていうの…



さゆり です



さゆりさんかぁ きれいな名前だ…

あなたにぴったりだね



まあ お上手ね



何が 上手なの?



お話が…



そうでもないよ… 本当は 違うんだ



何が 違うの?



どっちかと言うと ビジュアル系…



え? ビジュアル系? あなたが?

ビジュアル少ないじゃない



そう 抑えてるんだ 今…



ふーん… で あなたの名前は?



私は イド



え! 井戸?



違うよ idって書いて イド…



ふーん 変な名前ね…



ところで さゆりさん どうしてこんなの造ったの?



私 昼寝して 気が付いたら ここに居て…

超自我 っていう 何かよくわからない意識に

無限上昇建築を造れ と言われて…



それで これを造ったの?



ええ…



それで その超自我っていうのは どんな感じだった?



とても良心的な感じだったわ… だから…



だから何?



だから 図面描いたの… いけなかったかしら…



んー なかなか いい設計だよ

でも 夢御殿にタワーは要らないんだ

悔しいけど やられたよ 今回も謀反の一味に…



謀反の一味とか 超自我とか

言ってることが よくわからないんだけど

どういうことなの?



私も よくわからないんだ… でも

イド っていうのは快楽を追求する本能的な自我で

超自我は その上位意識として 私を抑えるんだ



ああ それで わかったわ!

あなたは 欲望の塊 だってことが



ん! 頭がいいね さゆりさんは…







何考えてるの さゆりさん



あなたと ここにいると危険な気がするの…



ん?



私の欲望にも火が点きそうで こわいわ



そんなことないでしょ いつも冷静沈着だから さゆりさんは…



でも 誰でも欲望はあるでしょ



そうだね



ここで あなたとふたりきりにさせたのは

あなたの超自我ではなくて 私のイドだったのかもしれない…



そうかもね



だから そろそろ ここから出ないと…

どうやったら ここから出られるのか 造った私にもわからないの…



ああ それなら簡単だよ



え? どうするの?