欲望その26

目を皿のようにして 緑の部屋の壁を見て回る
赤の部屋と同じように天井の四隅にはセンサーらしきものが付いている

緑一色なので あまり嫌な気はしないが
閉じ込められているようなので 早く出たいと思う
居て気持ちいい空間と そうでない空間があるのだ

都市の中はほとんどが人工の建造物に覆われている
しかし都市計画家や建築家は それとなく自然を上手く取り入れ
なんとか人々の気を紛らわせる手法を知っている
空が見えるだけでも違うのだ

この部屋は緑一色だが ここまでアーティフィシャルな空間にいると 窒息しそうだ
そう感じるのを このアーティストはわかっているのか

目を楽しませるだけがアートではない と思うが
嫌悪感を抱かせるのも 程々にしてほしい

ゲストを試すビジュアルゲームなのか
現代アートはそんな面もある