「人間の条件」展

「人間の条件」展
1994年/スパイラル/ワコールアートセンター/・南青山・東京

(同展覧会カタログより)

南條 史生 キュレーター
デーナ・フリース=ハンセン アソシエイトキュレーター

今回の展覧会のための提案において、この若い政治的なアーティストは基本的な要求である日本人の衣食住を問題に取り上げている。色やスタイルを組み替えた皮肉な衣装は、社会的約束事によって縛られた日本人に対する批判であり、自己のアイデンティティを定義したり、アイデンティティを確認するために服装を重視する者を困惑させる。たとえばサラリーマンのスーツに囚人服の横縞模様が入っている。軍服は、紛争の原因となりがちなナショナリズムを表す日の丸から引用された大きな赤い水玉模様で飾られている。

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日本の地価の問題に対して、彼は東京の各地より採取した1平方センチメートルの土を小瓶に入れ、それに場所と地価を記入した上で、貴重なもののようにヴェルベットの宝石箱に収めている。たとえば、スパイラルの1平方センチメートル当たりの地価は1,650円ということになっている。

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食については、日本の神聖な食料であり、最近では日本の貿易摩擦の一因となった米という微妙な主題に取り組んでいる。日下は輸入米と国産米を混合して水に溶かし、いくつかの配合比率の異なるジュースを展示している。


(補足)
これは 私が「衣」の作品でデビューした記念すべき展覧会だった
それまでの私は 環境汚染 食の安全性 経済問題などに関する作品を いろいろな表現方法で制作・発表していたが この展覧会をきっかけに「衣」作品の制作を始めることになった

この展覧会はスパイラルの全館を使用し 非常階段やレストランなど通常展示しない場所へ作品を設置するという取り組みだったため 私はホール舞台裏の楽屋に9点の衣装を展示する計画案を出し採用された

上の写真は楽屋の鏡越しに作品を撮影したものである 左から「迷彩模様の囚人服」「野球(上半身)
+テニスウエア(下半身)」「金ラメのウェイトレススーツ」「花柄の現場作業着」「横縞模様のビジネススーツ」「赤い白衣」「黒い白衣」「牛模様のシェフスーツ」「赤い水玉模様の戦闘服」である

同展のオープニングパーティで 私を含む4人のパフォーマーがこれら衣装の4点を着用し 会場と周辺の街中を練り歩いた