欲望その11の3 コレクター編

ここから御所までどれくらいですか?

距離にして約50キロ

どうしてそんなに遠くにあるんですか?

移動が必要なのです 人間には

あ 分かる 動いてないと死んじゃう

死ぬことはありませんが 腐るでしょうね

中国人は行かないと死んでしまうって

下名は日本人ですゆえ

しかし こんな森の中に一直線の道路があるなんて

人が行くところに道は出来る ここは王道です

私は脇道が好きなんですけど

では脇道へ

あ いいんですよ 御所へ一直線で

やはり 第二屋敷をご覧になっていただかなければ

もしかして あれ?

いかにも

お城じゃないですか

安土城を復元しました

信長の?

はい

あんな小高い丘の頂上に どうやって造ったんですか?

ここは夢御殿でござる

ござるって いきなり武士ですか?

下名には武士の魂が宿っておりますゆえ

武士の魂ねぇ

貴台にも感じますよ

私は 農民か職工でしょうね 武士じゃない

では 僧でしょ

そうでしょ って?

坊さんですよ

そういうのも先祖にはいないと思います

でも 和のDNAをお持ちです

それはあるでしょうね

ささ 着きました

安土城って こんなだったの?




イメージ 1


そうです 文献を調べ 忠実に復元しました

暗くてよく分からないけど 上の方 なんか夢殿みたいだなぁ

いかにも

なんか見覚えがあるなぁ

竹林にあった夢殿を拝借しました

え? あれは私の夢殿ですよ

そうでしたか よく出来ていたので コピペしました

じゃあ オリジナルはまだあるのね

この世界 何がオリジナルで何がコピーなのでしょう?

ここは 私のオリジナルの世界ですよ

では 下名がコピーだと?

さあ どうかな?

もしかしてクローン?

そんな訳ないでしょ

そうですよね ギャハ!

すると私の方がコピーなのかな?

本物より本物らしいコピーです

そんなぁ・・・

貴台は ここは自分の世界だと主張する 下名もここは自分の世界だと

どっちが本当?

どちらも本当で どちらも虚構

そういうことなら よく分かります

貴台は聡明ですな

第二屋敷がこれだとすると 第一の屋敷はどんな?

平屋です

へぇ

現代美術と骨董のコレクションで溢れてます

それはぜひ拝見したいですね

では ご案内しましょう

この城の中は 見れないんですか?

はい ここは非公開です

なんで?

コレクションを整理し直してますので

あ そうか 例のね

森の丘に座し 見えるアルプス連峰

え! どこ?

夕日を浴びて輝く四季の山々は圧巻でしょう

もうとっくに暮れてますけど

日が暮れれば 満天の星

雲っちゃっいましたけど

ここで座せば 時間も意識しない 静寂

禅の境地 かな?

欲望の峰 欲望のダム

すごそう・・・

頓珍漢なことを言いました

慣れてますから

ガハ! では 下名の屋敷へご案内します

え 御所は?

ガハハ! さあ お乗りください



(続く)

画像:安土城本丸表御殿と天主復元CG~掲載サイト:文化財学三浦研究室