夢御殿に彫刻家が訪れ
ここを気に入って 自分の家を建てはじめた
抽象彫刻の作家なので 家も抽象的だ
彼の彫刻作品は 慰霊碑が多い
何となく厳かで 近寄りがたい
彼の家もそんな印象だ
楕円と方形が不規則に組み合わされ
不安定のようだが 重力の法則には合致している
素材固有の色彩を生かし 基本的には彩色しない
石や木などを 削り 彫り かたちを作り出していくので
計画的に仕事を進めなければ 削り過ぎたり
折れたりするのだ
彼は よく失敗する
だが それを家に取り込んでいく
家が 彼の作品でもある
今日も 家の形状が変わった