欲望その129

随分 遠回りしてきたが
うっそうとした竹林を抜けて 我が家に戻ってきた

テラスから家の中へ入る
やはり自分の家へ着くとほっとする

靴を脱ぎ バスルームへ行く
服を脱ぎ シャワーを浴びて
露天風呂へ浸かる

浴槽から 少し湯がこぼれる
いつ見ても いつまで見ても飽きない石庭がある

石は自然が作り出した彫刻だ
無作為な表情と奥深い色調に いつも感動する

それに比べ 私の作品は 作為的だ
衣服の形態と色彩模様を置き換えることにより
社会通念に疑問を投げかける

定着したイメージを覆す視点を示すのが目的だ
建築においても このプロジェクトによって
既成概念をシフトアップしようとしている

ゲストのひとりが言っていた

建築は制約があるからできる
何も条件を与えられなかったら
何を造ったらよいのか わからない
自由とは制約があるからこそ 自由なのだ と


私に与えられた制約は 時間 か
死ぬまでに あと どれくらいの時間があり
記述に何時間費やせるか わからないが
ひたすら 書き進めるだけだ