欲望「転」 蒼井渚編

っと! 何これ?

ドンデン返しって言ったよ~

どーやって戻るの?

壁を押せば回りますよ~

んー? こうね

お帰り・・・

・・・ただいま

見た?

何を?

秘密の抜け道

あれがそうなの?

進んで行くと 道が分かれてます

道案内は?

基本 ありません

サービス悪いね

道案内したら 秘密の抜け道にならんだろが!

あ そっか

中は迷宮になっています

でもさー 印を付けて行くとか 道順メモって行けば 戻って来れるんじゃない

可変空間になっています

道が変わるの?

状況は刻々と変わります

人生のようだね

そうです その場その場で判断を迫られる

なるほど

後戻りは出来ません

やり直しは出来ないもんね

人生は迷宮を彷徨っているのと同じです

そういうことか

途中にも どんでん返しがあります

人生にあるかな? どんでん返し

あるでしょう でも 吉と出るか凶と出るか

あー ズンドコになっちゃう人もいるからなぁ

ドンゾコでしょ! 氷川くんに失礼じゃない

ファンなの?

永遠の・・・

何 照れてるの 渚さんらしくない

らしく って どういうイメージ?

よく分からん

またあ

だから ここで暴く!

自分を曝け出すのは 御殿さんだけにしてください

渚さんは作家じゃないもんね

ただの社会人学生なもんで

いくつになっても勉強は大切だからね

知識は人生を豊かにします

あー 俺には無縁だ

御殿さんは芸術を追及してください

んー 人生も残り少ないからなぁ

では 先に進みましょう

迷宮は遠慮するよ

いえいえ 私の秘密の部屋へご案内します

んー いいの? 秘密の花園 見ちゃって

花園じゃなくて 部屋ですよ

どんな部屋?

見れば分かります

忍者屋敷だから 隠し部屋があるんでしょ

部屋というより 秘密基地なんで

また ミニ?

別名 最後の楽園と呼んでいます

ん! 御所のこと?

御所ではありません

美女 いる?

ったく 墓穴を掘りますよ

あ 俺 自然葬 希望だから 墓要らない

どこへ蒔くの?

やっぱ 海かな

湘南の海には蒔かないでね~

うん 船に乗せてってもらうよ

出来るだけ遠くにね

ちゃんと言ってある

では 秘密の部屋へどうぞ

きれいなお姫様たちがおもてなしー

・・・

ん? ちょっと待って 真っ暗じゃん?

・・・

渚さん どこ?

・・・

おーい 冗談でしょ

・・・

何か言ってよー 渚さーん

・・・

どーかした? 俺 何か悪いこと 言ったっけ?

・・・

これ どっちへ行けば いいんだ?

・・・

んー ライターあったな

・・・

んー

・・・

何かいるなぁ

・・・

渚さーん 明かりくらい点けてよー

・・・

あ 明るくなった ありがと
おおおっと! びっくりー 亀が!

え? 何だって この前はありがとう だって?
この前 助けた亀なの?

何? お礼に竜宮城にお連れしますって?
あー いいよー 俺 ここから出たいだけだからー

え? 竜宮城に行かないと ここから出られないって?
そんなぁ・・・ 渚さーん いい加減にしてよー

何? 渚さんは もう居ない? どこ行っちゃったの?
ログアウトしたって? まったく もう しょうがないなぁ

え? 明日が最終回だから早く乗れって? 甲羅に?
んー 乗れるのかなぁ? いいから乗れ!って はいはい じゃあ 乗りますよー

よっ こうら しょっと!

ん? やっぱり無理? 動けないよねー
え? 潜水艦があるから それに乗ってくださいって?

浦島太郎の話は 未来の予言だったんですって?
そうか! 亀は潜水艦の例えだったのか

浦島太郎の話って変だと思ってたんだけど これで納得
じゃないと 海中で酸素ボンベも着けずに居られるのは変だし

レオナルドがヘリコプターのような飛行体の絵を描いたように
浦島太郎の話は 未来展望があったに違いない

時空を超えた想像力の賜物・・・ では 竜宮城は どんな?
んー 海中展望塔などの海洋建築物もあるから 技術的には問題なし

深度と水圧の関係 それに耐えられる構造と建材の選択
中に空気が入ると浮力が生じるから 強固な基礎が必要かも

建設は 何も作業が大変な海中でやらずとも
陸上で造って沈めて ライフラインを接続すればいい

あー あれだな
本当に秘密基地みたいだ



(続く)