欲望その130の2

竹林の中にひっそりと佇む 小さな家だった
白壁に赤い屋根 が竹林の緑に映える

玄関の扉を開けると リビングルームのようだ
室内は意外に広い

靴は脱がなくていいのか と聞くと
そのまま 入ってください と言う

今 お茶をお入れしますわ と言って
別室へのドアを開け 姿を消す

ソファに腰を下ろし 部屋の中を見回す
室内も白を基調として
木の風合いを生かした窓枠とのバランスがいい

抽象的な絵が 壁に掛かっている
和紙に墨で描かれた風景のようだ
画面の白と黒のバランスが絶妙だ
刻印の朱色が アクセントになっている

誰の作品かな と思い 近寄って見ると
由人 と書いてある ようだ
知らない名の作家だ

でも きれいな平面作品だ

家は住む人の 人柄が現れる
美人スタッフのセンスのよさが伝わってくる

間もなく 美人スタッフがお茶を運んできた
この絵は どこで手に入れたの の聞くと

オープンスタジオでゲストの方が描かれていたのを
偶然 拝見して 気に入りましたので譲っていただきました

と答える

オープンスタジオへ訪れるゲストの中にも
才能がある人がいることを 知った

リビングルームに面して 玄関ドア以外に
扉が3つある
中央の扉は お茶を入れてくれるときに
入っていったので 台所があると思う

入れてくれたお茶を一口飲み 右の扉を指して
あのドアの中は何があるの と聞くと
ご覧になりますか と聞き返された

頷くと 美人スタッフはドアの前へ行く
追って 私がドアの前へ進むと 開けてくれた