欲望その130の5

君は この家に ひとりで住んでいるのかい と聞く
美人スタッフは はい と答え ビールを一口飲む

中央の扉を指差し あのドアはキッチンの入口かな
と聞くと ええ と答え またビールを一口飲む

じゃあ と言い 左の扉を指差し
あっちのドアは と聞くと
ビールを一口先に飲み 一瞬沈黙した後
夢の部屋ですわ と言う

意思とは無関係に股間が動く
私はバスローブ1枚しか 身に着けていない
股間の変化を隠すように 脚を組んでごまかす

美人スタッフは 続けてこう言う
中をご覧になりますか

さあ 困った
今立ち上がれば バスローブの股間部分は
ピラミッドのように迫り出すに違いない

じゃあ ビールを飲み終わってから と言って
自分でグラスに ビールを注ぎ足す
少しでも時間を稼ぎ 息子がおとなしくなるように
違う話題にもっていく

クルマを運転するの と聞くと
免許は持っておりますけれど
公道は怖いので運転はしません と答える

不便じゃないの と聞くと
いいえ と答え ビールを一口飲み
ここで暮らしていれば クルマは必要ありません と言う

じゃあ このビールは 歩いて持って来るの と聞くと
はい あなたが お見えになることが
わかっておりましたので 必要な分だけ
買って参りました と答えるではないか

一気に股間が萎えた

どうして 私が来ることがわかったの と聞くと
ここで暮らしていると いろいろなことが
わかるようになるのです
と答え グラスに残った一口分のビールを飲む

私は言葉が続かなくなり ビールを一気に飲み干した

では 夢のお部屋へご案内いたしましょう と言って
先に立って扉の前まで歩いて行く
私も後から着いて行く

さあ どうぞ と言ってドアを開ける と