欲望その130の10

家はなかった

あれっ 道を間違えたかな と思い
周囲を見回すが 確かにここだったはずだ
私は 道を覚えるのは 得意な方だ
一度 通ったところは 忘れない

途方にくれる
竹林の荘厳な雰囲気に飲み込まれそうだ

あれは 夢か幻 だったのか
竹林は いつでもミステリーゾーン

いや 確かな感覚があったし
映像も鮮明に覚えている
しかし 現実以上にリアルな夢もある

彼女は月へ行ってしまったのだろうか
これは 御伽噺ではない

考えられる可能性は ひとつ

私が誤って削除してしまった のだろう
CADだから 一瞬でデリート可能だ
何の痕跡も残らない