欲望その132の2

そうだねぇ じゃあ意識の更衣室へ行こうか と言うと

あそこは前に行ったから結構です
夢殿を少し小さくして
中に琉球畳が敷いてあるんでしょ と言う

なんだ 知ってるのか
じゃあ ゲストルームが空いているから そこへ と言うと

そこもさっき見ました
ホテルのスイートルームみたいで いいんですけど
画一的ですわ

やはり専門家の意見は厳しい

じゃあ とっておきの場所へ行こう と言うと
どこですの そこは と聞く

3年前に造ったんだけど
使われずにそのままになっているんだ
行けば わかるよ と答える

歩きはじめると
あなたは 何をなさっているんですか と聞いてくる

アーティストなんだけど 作品が売れないから
夢御殿で図面を描いて暮らしているんだ
今は これが私の作品かもしれないなぁ

そうですね 建築もある意味 アートなんです

でも ここは 開発の許可申請も建築確認申請も
要らないから 人間の欲望をかたちにできるんだ

そう いいわね
私なんか開発許可やって たいへんな思いをしたわ
何度も図面直して 役所へ行って

そう たいへんだね 宅造も絡んだの

よくご存知ですね

でも 道路の付け替えはなかったんでしょ

ええ まあ

あれは面倒くさいから

そうなんですか


少しは打ち解けたようだ
話しているうちに とっておきの場所へ着いた

何?ここは? と美人建築家が言う