欲望その70

四季があるのは いい
日々刻々と 景色が変わっていく
日差しや雲 空や木々の色

水が温み 風が変わる
竹林を散策すると たけのこが目立つ
間引きしないと あっという間に伸びてくる
手入れをしないと 美しさは保てない

人も同じだ
女性は美しさを維持するため入念に手入れをする
男性もエステにいく時代だ

美しい外観をつくりだしたら
心の手入れもしてほしい

竹林のはずれには 東屋がある
今日はゲストをここへご案内しよう

日本では 茶の作法がある
流派によって多少の違いはあるが
茶室への出入りや立ち居振る舞い
茶の点て方や飲み方にまでルールがある

私のような者には向かないし
第一 茶菓子がまずい

形式張らずに 心を浄化する

夢御殿の東屋は 茶室ではない
法隆寺の夢殿を模して造った正八角形の建物だ
四方に扉があり どこから入っても自由だ
中へ入ったら 靴を脱ぎ
建物の中央で座禅を組んでほしい

心が洗われていく
風水パワーというのか
気 の流れが伝わってくるはずだ

現存する法隆寺の夢殿は
聖徳太子没後に建立されたものらしいが
生前 斑鳩の宮に夢殿と呼ばれる建物があり
太子は その中で思索にふけったとも伝えられている

聖徳太子は 無限の広がりを
夢殿で感じていたのかもしれない

そう言えば 夢殿 と 夢御殿

似ているのかも しれない


さて 夢御殿の東屋で ゲストは
心の手入れができただろうか

私はこの東屋を
意識の更衣室 と呼んでいる