プロローグ

自分史を書くなんて 年寄りみたいかな?

人生 もう終わっちゃった みたいに思われるかもしれない

けど 高齢になったら 昔のこと忘れちゃうだろうから

今のうちに 書けることは書いておかないと…



自分史 っていうのが変だったら 回想録 でもいいかな?


じゃあ 回想録 ってことで…



年頭に 母校へ行ったのがきっかけで 鮮明な記憶が甦ったんだ

門を入ってすぐ右手に美術館ができ 食堂は昔の面影もない

でも 絵画棟は 何も変わっていなかった

エレベーターの中は 相変わらず展覧会の案内はがきで埋め尽くされている

教官室のある6階へ行くと 油絵の具特有の臭いが鼻をつく

その臭いが 記憶を呼び覚ましたんだ