回想録

帰路の旅(テキサス)

マンハッタンで1泊し 次の日 ラガーディア空港からヒューストンへ向かった オースチンに住む友人… 私に大きな転換点をもたらしたアメリカ人キュレーターに会う 彼は空港まで車で迎えに来てくれた そう アメリカでは 車がないと生きていけない 彼の家へ向か…

愛しきスモールタウン

翌日の地元新聞に MASS MoCAオープンの記事が大きく出ていた 市長や館長の写真とともに 私たちの写真も載っていた やはり「衣」の作品は派手じゃなければ だめだ CACのディレクターによると ラウシェンバーグ氏も来ていた と言う しかもボイスの…

MASS MoCAのオープニング

いよいよMASS MoCAがオープニングする GALAと呼ばれるフォーマルなオープニングパーティがある 入場料は高かった… ひとり15000円くらい でも 美術関係者やプレスが出席するため 服の作品を着て行けば いい宣伝になる チケットを買って 車で…

嬉しい知らせ と 残念な知らせ

台北市立美術館から 送金の知らせが電子メールで届いた この知らせは嬉しかった お祝いだーとばかり すし屋へ行った こんな山奥の町で どんなすしを出すのか と不安だったが 若い韓国人が握っていて まあまあおいしかった 日本から荷物が届き 食料と郵便物が…

アダムス

展示作業は順調に進んだので 休みの日を利用して 私たちは車で周辺をドライブした ノースアダムスの南に アダムスという町がある そこの ミス・アダムスというレストランが気に入って よく食事をした アダムスの町を一望できる丘(山)があるというので車で…

ダウンタウン・インスタレーション

CACに着き 翌日からさっそく個展の準備に取り掛かった 展覧会用の作品は 出国前に航空便で送っておいたから 後はそれを設置すればよかった 街のメインストリートにあるショーウィンドーが使えるというので パフォーマンス用に持って来たアブフォーマルス…

再びノースアダムスへ

バスに乗ったときの記憶を頼りにハイウェイを走る しかし 道順がとても複雑だったため 間違えてしまった ニューヨーク市街地を抜けるのに 1時間もかかってしまった それから 87号線を北へ ひた走ること4時間 ようやくアダムスへ着いた が ディレクターと…

さらば マンハッタン

マンハッタン滞在の約1か月は あっという間に過ぎた ノースアダムスへ向かう朝 地下鉄に乗ってレンタカー屋へ行き 車を借りた アメリカで運転するのは はじめてだったので ちょっと緊張したが すぐ慣れた ホテルへ戻り 荷物を車に積み込んだ こっちへ来て買…

バード・カレッジ

2泊のCAC下見はあっという間に終わり ディレクターはウィリアムズタウンまで 私たちを車で送ってくれた バスに乗り4時間かけてマンハッタンへ戻る ホテルのフロントで部屋の鍵を受け取り 階段を上って3階のVIPルームへ行く トイレのドアノブは… 直…

衣食住+?

メインストリートを後にして スーパーマーケットへ行った 目と鼻の先にあるのに車で行く スーパーマーケットの店内は広く 売っている品物はやたらと量が多い SMALL TOWN でもビッグサイズだ ディレクターは私に 来月の滞在中に必要なことを すべて…

ノースアダムスのダウンタウン

翌朝は早く目が覚めた… 少し寒い 身支度をして ディレクターの住まいへ行く おはよう よく眠れたか と声をかけてきた ええ 静かでぐっすり寝ました と答える さあ 朝飯を食べに行こう と言い 車に乗って出かけた ディレクターはこう言った この下見の間は私…

町の皆が顔見知り

イタリアンレストランに入ると お互いに顔見知りらしく ディレクターは皆とあいさつを交わしていた 私の顔を見て SMALL TOWN と言った 小さな町だから 皆知り合いなんだ そうだ さあ 好きなものを注文して食おう と言ってパスタとビールを頼んだ す…

CACへ

車に乗り CACのあるノースアダムスへ向かった 途中 ここはすし屋だ とディレクターが言った こんな田舎町にも すし屋があるのか と思った ノースアダムスが近づくと 墓地があり 丘を下ると 陸橋からノースアダムスのダウンタウンが見えた あれがMASS …

ノースアダムスへ

ホテルのフロントの黒人男性に 今度 マサチューセッツへ行くので 3日間部屋を開ける 荷物を部屋に残していくが大丈夫か と聞くと No Ploblem! と答えが返ってきた もちろん部屋はチャージしたままで 料金を払うわけだから文句はない トイレのドアノブはい…

トラブル再発

ホテルのバスルームで またトラブルが起きた 内側のドアノブの中心にボタンがあり それを押すと錠がかかる これは普通だろう なぜ そんなことをしたのかわからないが バスルームから出るとき ドアノブの錠のボタンを押して ドアを閉めた すると ドアが開かな…

住めば都

住めば都 と言うけれど 私が泊まったチェルシーのホテルは例外だ 滞在初日から変だなー と思っていたトイレが ある日 完全に詰まって流れなくなった フロントへ電話をすると スタッフが半球形のゴムが棒に付いた道具を持って来た 私は Thnak you I try と言…

ニューヨークの画廊巡り

チェルシーは倉庫街で マンハッタンの中でも比較的家賃が安く ソーホーから次々と画廊が移転していた 9th Ave.から西は人通りも少なく 殺伐とした雰囲気がある 観光ガイドブックには現代美術を扱う画廊など ほとんど載っていないため 自分で探すしかない 友…

開通

接続不能は タイムラグだった モデムが0発信しても すぐ回線につながらないので 0の後の電話番号が 回線上認識されていなかったようだ 0の後に ----- を入れてみると アクセスポイントへつながった 友人たちにニューヨークへ着いたことを メールで伝え ほ…

接続不能

長旅の疲れが ホテルの支払いの件でふっとんでしまった お腹が減ったので外へ出た 何を食べようかと迷った挙句 マクドナルドへ入った 本場の味も日本と変わらなかったが 飲み物のサイズは違った スモールサイズが日本のラージサイズだ ハンバーガーとフレン…

恐怖のホテル

案内された部屋は 階段で3階まで上がったところだ 重いスーツケースを自ら運び ようやく辿り着いた でも 部屋は広く シンクと冷蔵庫と電磁プレート付きのミニキッチンがある これなら自炊もできる ほっと一息 と思ったのも束の間 電話が鳴った 出てみると …

いざニューヨークへ

私にとっては 生まれてはじめてのニューヨークだった 9.11以前だったので 空港でのチェックも厳しくなかった 私はカウンタースーツを スーツケースに入れチェックインした 成田でも JFKでも 何の不審も抱かれず通れた JFK国際空港からイエローキャ…

渡航準備

CACに滞在する前に ニューヨークへ行きたかったので インターネットで安いホテルを検索した ギャラリーの集積地に近いチェルシーに 私の予算で1か月くらい滞在できるホテルを見つけた ブルックリンに 友人が住んでいたので 連絡して下見に行ってもらった…

A.I.R

作品が売れて まとまったお金を手にすることになったが 展覧会のコミッショナーや協力者 そして 販売委託をしている画廊などへの支払いで300万円が消えた 残り400万円を何に使うか と考えた末 1年間海外で暮らそうと決めた A.I.R(アーティスト…

作品買い上げ

台北から帰国して しばらくすると 展覧会のコミッショナーから電話があった 台北ビエンナーレに出展した作品を 美術館が買いたいと申し出ているというのだ 私が出展した衣装の作品は30点 輸送し展示する期間 保険に入るというので 事前に見積もり価格を提…

カウンター・スーツ

台北ビエンナーレの作品設置を終えた帰路 飛行機のなかで 私が尊敬するアーティストと席を隣にした 私は 世界の名作シリーズという作品を作っていて そのひとつとしてカウンター・スーツを作りたいと申し出 彼にデジタルカウンター作品の提供を求めた その作…

欲望場域

1998年 台北ビエンナーレが開催された 展覧会タイトルは 'SITE OF DESIRE' 欲望場域だ 私にとっては 初の海外展だった それまでに制作した衣装から30点を選び 美術館の広い通路に吊り下げて設置した 鑑賞者は その2列に並んだ衣装の間を通り 様々なア…

新しい女性

1997年 「新しい女性」というテーマで 銀座6~8丁目界隈の10画廊が共同開催した展覧会「銀座ギャラリーネット'97」 この展覧会において 私たちは「アブフォーマル・スーツ(打掛タイプ)」と マネキンの下半身にブラウン管を取り付けた「イヴ/プロ…

アブフォーマル・スーツ

「衣」の作品でアイデンティティを探求していったとき きもの の形態について考えた 直線で裁断して縫い合わせるが 唯一カーブを描くのが 袂(たもと)である 袖(そで)と言ってもよい 女性のきものは この袖の長さが違う 花嫁衣裳の打掛は 袖が長く 振袖 …

アイデンティティ

私はアパレルデザイナーと組んで制作していたので 私たちもグループ名を名乗ろうということになり ユニット名を考えた 「衣」って何? 人体のほとんどを覆い その人間の 目的や社会的経済的背景を反映するばかりか その人自身を現してしまうかもしれない つ…

国家なき大使館

「衣」の作品を発表し始めると いろいろな出会いがあった 個展に来て 私の作品に共感を覚えたアパレルデザイナーと 共同作業を始めることとなった また スパイラルのオープニングで知り合ったスペイン人アーティストと コラボレーションすることになった 彼…