別れ と 出会い

その後 私は油絵科の人たちと話すことなく

ひとり 黙々と絵を描いた


そんな 11月のある日 彼女から話があると言われた

受験でたいへんなので もう一緒に行き帰りはしない と…

でも それは方便だったと思う

油絵科の中で寡黙な私のことは デザイン科でも噂になっていたに違いない

偏屈で傲慢な奴 だと思われていたようだ


彼女に未練はなかった というよりも それほど深い関係ではなかった

お互いにがんばって合格しよう と言って別れた


私がひとりで帰るようになったある日 片付けをしていると

ロッカーにしまおうとしたポピーオイルを落とし

床に落ちて割れた瓶のオイルが 私の靴に飛び散ってしまった


近くでそれを見ていた油絵科の女子生徒が 私に声を掛けた


大丈夫?


平気さ


と言ってその人の顔を見ると 私の目を見つめている

それまでは 目を合わせたこともなかったのに…


私は気取っていたし 完璧を装っていたが 失態する場面を見られてしまった


その女子生徒は思わず笑った

私も笑い 一気に打ち解けたように思えた


その後 その女子生徒が 実はあの人はドジよ と皆へ言ったに違いない


その人が 私と油絵科の人たちとの仲を取り持つようになり 皆と話をするようになった

例の男子3人組とも仲良くなり 4人組になった


一旦仲良くなると 目的を同じくしているせいか

大親友のように思えてしまう… 本当はライバルなのに…

受験を間近に控え 皆で合格しようと意気込んだ