欲望その2の3(緑の丘)

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そこは緑の丘の中腹・・・
岩盤がむき出しになっていて その一画だけ木が生えていない
海が一望で 木々に囲まれている 抜群のロケーションだ

「こっちに来てください」

「ん なに?」

「これ 見てください」

「おっ 湧き水ですかー 飲めるかな?」

「ええ もう水質調査しました」

「へー 準備いいねー」

「それから 少し降りたところには 温泉が出てるんです」

「いいねー 温泉 最高じゃん!」

「それと なぜか電気と電話線と排水管が埋設されているんです」

「あー 多分 誰かここに住んでたんだー」

「ええ 私もそう思います」

「景色いいもんねー 住みたくなるよ 確かに・・・」

「どんな家だったのかしら?」

「取り壊して行ったとしか思えないけど・・・ 何か基礎の跡でもあれば・・・」

「これ 何ですか?」

「あー それは もしかすると基礎の跡だね」

「同じ様なのが いくつかあるんです あそこと あそこにも」

「あー 間違いないね 家が建ってたよ ここに・・・」

「どうして いなくなったのかしら?」

「わからないなー」

「あなたの夢御殿なのに わからないの?」

「広いからねー・・・ と言うより 無限だから・・・」

「いなくなった理由を知りたいわ 何か不都合があったのかもしれないから・・・」

「お化けが出るとか?」

「それならいいけど クマが出たりしないかしら?」

リラックマならいいけどねー」

「だったらいいけど・・・本当のクマが出たら怖いです」

「でも クマが出て逃げたとしたら 家を取り壊して行くかな?」

「行かないですよね・・・」

「そういうのじゃない 他の理由・・・ 何だろ?」

「引っ越すのは 仕事の関係とか もっといい場所見つけたとか・・・」

「それだよ きっと! そうじゃなかったら こんなにきれいに壊さないよ」

「確かに そうかもしれませんね」

「じゃあ 早速ここの地盤調査をして 測量しないと・・・」

「必要あるんですか? 地盤は硬そうだし 隣家もないのに・・・」

「まあ 地盤と境界はいいとして 高低測量をしないと」

「この基礎の跡に建てるのでは いけないんですか?」

「んー プランが入るかな?」

「やってみましょうよ! 入らなければ そのときは そのときとして」

「じゃあ そうしよう! まず ここがガレージでー」

「もー どうしてガレージから造るんですかー いっつも そうなんだからー」





画像:伊豆南窓室http://park15.wakwak.com/~nanso/