欲望その3の1(なにわの美人OL)

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私は独り言を呟きながら 緑の丘を下って行った

あー ここからも見えるんだ バベルの塔が・・・
さゆりさんは とんでもないもの造っちゃったよなー
無限上昇建築なんて・・・

「見ぃちゃった」

「え!」

「御殿さん こんにちは!」

「あー なんだ さっちゃんかー わー! 何それ!」

ドーベルマンよ」

「大丈夫? 噛み付かない?」

「平気 平気 よく慣れてるから」

「いいボディガードだね・・・」

「まーね! ところで いいお家 できましたねー」

「え? あー あれ しまちゃんの家?」

「そう きれいな海が一望なんて いいわねー」

「しかも温泉付きなんだ・・・いいよねー」

「うちも欲しいなー 素敵なお家・・・」

「ああ いいよ ここは無限空間だから 好きなとこに好きな家建てて・・・」

「あのね うちの御殿も造ってほしいんよ」

「んー 今ね 忙しいんだよ」

「ほ・ほう しましまさんのは造って うちのはできん ということですか?」

「見てたの?」

「一部始終 σ(^▽^)オホホオホホ」

「しょうがないなー で どんな家がお望み?」

「駅近のタワーマンションの30階以上・・・眺めがよくて広いバルコニーがあって・・・」

「そんなのここじゃなくても 手に入るでしょ」

「しましまさんのも ありがちの建築ですよねー」

「そ そうだね・・・」

「うちはもっと 斬新なのが好きや」

「たとえば?」

「ほら あれ・・・ あのタワーの最上階にペントハウス造るとか」

「あれって バベルの塔?」

「そうや」

「あれは無理だよ 無限上昇建築だから 最上階がない」

「じゃあ ここに建ててよ 高層ビル」

「ここは 自然豊かな場所だから 高層ビルは向かないよ」

「あれぇ そんな概念的なこと言って 結構保守的?」

「駅ないしー」

「造ればいいやん」

「そんな 簡単に言うけど」

「簡単にできるじゃない ここは夢御殿なんだから」

「そうは言っても・・・ ん? 何やってんの さっちゃん!」




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