欲望その4の1(キャリア美人の人生設計)

「御殿のお兄さまー」

「ああ なおちゃん・・・ お兄さまはやめてよー」

「でも そう呼びたいんです」

「まあ いいか・・・ 最近 体の調子はどぉ?」

「だいぶ よくなりました」

「そう それはよかった」

「あのぉ・・・」

「何? まさか さっきの見てた?」

「何のことですか?」

「あのビル・・・」

「あのビルが どうかしたんですか?」

「ああ 何だ 見てた訳じゃないのね」

「何言ってるんですか お兄さま あのビルがどうかしたんですか?」

「見てないんだったら いいの」

「そこまで言ったら ちゃんと話してくれないと気になるじゃないですか」

「あのねー あのビル さっちゃんのなんだ」

「えー! さっちゃん いつの間にかビルオーナーになっちゃったんですかぁ
(やるなぁ あの娘も・・・)」

「最上階に ガードマン付き メイド付きで住んでる・・・ 行ってみる?」

「今度にします・・・ 今はお兄さまと会ったから ちょっとお願いが・・・」

「まさか なおちゃんも家 造ってくれって言うんじゃないだろうね」

「え? ああ それも頼みたいですけど・・・
 でも 忙しかったらいいんです それはいつでも・・・」

「まあ いつも忙しいからなー 私・・・」

「そうみたいですね・・・ 私も忙しいし さっちゃんも忙しいみたい・・・」

「でも 今はセレブな生活してる・・・ ブログやり放題」

「へー いいですねー (でも他にすることないのかしら・・・)」

「じゃあ なおちゃんも賃貸収入のある夢御殿 造る?」

「わー うれしい! やっぱりお兄さまってやさしいですね」

「まあ 相手によりけりだけど・・・」

「あのー 私 別に贅沢な家は要らないんです・・・普通に住めれば」

「堅実だね なおちゃんは・・・勉強家だし・・・」

「そうでもないですけど まあ生きていくために・・・」

「キャリアアップだね でも なおちゃんもそろそろ結婚して」

「子どもをつくらないと・・・ですか?」

「そうだねー できれば2人は欲しいねー」

「あのぉ お願いってそのことなんです」

「え! 私はだめだよ 妻子があるから」

「違いますよー 誰かいい人 いませんか? お兄さまの知り合いで」

「そういうことか・・・ んー もうみんな結婚してるからなー
 結婚していない奴はどっか問題ありだし・・・」

「そうですか・・・ じゃあ その話はもういいです」

「ん? そういう訳にはいかないよ 家を造るとなると人生設計も組み込まなくちゃ
 なおちゃんのこれからの人生は どんなイメージ?」

「結婚して 子どもが生まれて・・・産後少ししたら働いて・・・
 子どもが大きくなって・・・受験とか大変そうですね
 それでようやく一人前になって でもいずれ結婚して家を出て行って・・・
 夫婦2人になって・・・やがて どちらかが先に死ぬ・・・」

「うわー やめよう やめよう」