欲望その5の2(漂流住宅 後編)

漂流住宅は 潮に流され 穏やかな海を漂う

海はいいなー 久し振りの休息・・・
ああ 気が抜けると 睡魔が・・・

夢御殿の 瞑想の部屋 の夢をみた
ソファに深く寝そべって 上下左右にゆったりと大きく揺れる・・・

ん! ちょっとおかしいんじゃない 揺れ過ぎだよ これは
機械が壊れたかなぁ

と 待てよ 私は瞑想の部屋にいるのか それとも
漂流住宅で海上を漂っているのか・・・

目を開けると よく見えない・・・いつの間にか夜になっていた
ぼんやりと球体内部の構造体が見えた・・・当然 瞑想の部屋なんかじゃない

ん? 嵐か・・・すごい時化(シケ)だ

こりゃまずいかな と思ったが 球体だから転覆しないし
どこかに流されても 水も食料もたくさんあるから 何の心配もない

私は再びソファに身を沈め 眠りについた・・・

外は激しい時化なのに 中は静かだ
時折 大きく揺れるが 慣れてしまえば気にならない

しかし ひとつ心配なことがある・・・
そう思ったとき 予感は当たるもので 嫌な轟音で目が覚めた

座礁か・・・

船底が擦れる音だ まだ ガリガリ鳴っている
まあ これも予測していた事態だから 慌てることはない
私は起き上がり 外を見た

ん? ここは・・・