欲望その７の１（さっちゃん再登場）
走り去る愛さんのワゴンに手を振った
「御殿さ～ん」
「おっとー 誰かと思ったら さっちゃんかー」
「誰？ あの人」
「ああ ミュージシャン なのよ」
「ふーん いい雰囲気みたいだったけどぉ」
「そんなんじゃ ないよー お互い家庭あるしー」
「もしかして ふ・り・ん？」
「違うってばー」
「冗談よ カワイイわね 御殿さんてー」
「大人をからかうんじゃないよ！」
「マジ？ 怒った？」
「あのねー さっちゃん 本当に何もないんだよー」
「あー むきになってるなってるとこが 怪しぃー」
「まったくもー ああ言えば こう言う こう言えば そう言う」
「ああ言う でしょ」
「ああ そうとも言うね」
「なんか 訳わかんなくなってきたわー」
「そぉ？・・・ ところで さっちゃん うまくいってるみたいじゃない？」
「え！ な なんのこと？」
「事業・・・」
「ああ そっちの方かぁ」
「何だと思ったの？ 恋愛のこと？」
「ほっといてぇ そっちは」
「はい 社長！」
「な なによ いきなり 社長って」
「だって 経営者でしょ」
「け・けいえいしゃ って？」
「馬とスタジアム！」
「（￣▽￣；）あはは＠＠＠ 何のことか さっぱり・・・」
「わからないの？」
「えーと えーと・・・」
「知ってますからね！」
「なんや 知っとんの」
「すべて！ お見通しです」
「あかん？」
「ん？ ああ いけないこと じゃないよ」
「じゃあ いいの？」
「いい って訳じゃないけど・・・」
「けど なんや はっきり言うてみ！」
「節度 っていうものが・・・」
「あるかー ここにぃ！」
「ない？」
「自分の耳に手を当てて よく聞いてみ」
「え？ 聞こえないよー 何も」
「あー ちゃうちゃう 胸」
「ムネ？ 触っていいの？」
「違うってー 自分の胸に手を当てて よく考えてみ」
「疲れてるんじゃない さっちゃん」
「そお かも・・・」
「手広く やり過ぎたんだよー こんなとこまで進出して・・・
ここは なおちゃんの駅じゃない」
ここは なおちゃんの駅じゃない」
「でも なおサン なんも言わんし」
「大人しいからねー なおちゃんは」
「うちは 騒がしいって言いたいの？」
「自覚してるんなら 言う必要もないなぁ」
「何よー 本当はおしとやかなレディなのよぉ 彼の前では・・・」
「あー ネコ被るってやつね」
「それも 恋のテクニックよん」
「うまいよねー さっちゃん 仕事もうまくいってるんでしょ？」
「ぼちぼちや」
「軌道に乗ったんだね 事業が」
「けっこう きつかったのよん 初めのうちは」
「そうだよねー いつもおちゃらけているけど 本当はたいへんだったんだよね」
「そう 見える？」
「うん・・・ 私もちょっと疲れてるのよー 本当は」
「そうねー 休みなかったからねー 少し休んだら？」
「んー 休めないよ・・・死ぬまで」
「アホなこと言わんといてぇ」
「さっちゃんさー」
「何？」
「やっぱり ちょっと休もうよ 別荘で」
「え？ 御殿さん 別荘 持ってるの？」
「ないよ これから造るんだ」
「何だー じゃあ休めないじゃない」
「でも いいから 行こう」
「行こう って どこに？」
「どっか 緑の多いとこ・・・」
「ここに 緑 生やしたらええんとちゃう？」
「だめだめ ここを離れないと」
「じゃあ うちのヘリで行こか？」
「いや ヘリはやめよう 降りる場所ないから」
「そんな山深いところへ行くの？」
「行ってみないとわからない」
「じゃあ ヘリでもいいんとちゃう？」
「行って 降りられなかったら戻らないといけないでしょ・・・
疲れるから やめよーよ」
疲れるから やめよーよ」
「じゃあ うちのクルマで」
「無理だよ フェラーリじゃ 山道だから」
「じゃあ オフロード車 買いましょ♪」
「え？」
「前から欲しかったのよ スキーに行くのに これじゃあ」
「え？ フェラーリで行ってたの？ スキー場へ？」
「そうや あかん？」
「街中でも目立つのに スキー場じゃあ」
「みーんな 見てはる ｄ（－＿－）」
「だろうね でも板 積めるの？」
「うち ショートスキーなのよん」
「ああ じゃあ入るね」
「ねえ 御殿さん オフロード車 何がいい？」
「やっぱり あれだよ あれしかない」
