3) 退学 !?
藝大の実技授業は版画や塑像など多岐に渡って造形の基礎を教えてくれたが
油画専攻であるため やはり油画の課題も出る
油画専攻であるため やはり油画の課題も出る
同級生たちは ごみ置場へ行き捨てられたブルーシートや木片などを拾って来た
モチーフは予想通り とても汚らしく 描く意欲がまったく湧かなかった
そのとき 浪人時代の予備校での出来事を思い出した
そのとき 浪人時代の予備校での出来事を思い出した
泡に包まれたモチーフは きれいだった
「そうだ 泡をかければきれいになる」と思った私は アトリエに誰もいなかったので
廊下から消火器を持って来てモチーフに向かけてレバーを握った
廊下から消火器を持って来てモチーフに向かけてレバーを握った
ところが 泡ではなく白い粉末が勢いよく噴出し 一瞬でアトリエが真っ白になった
もちろんモチーフも白くなったが 泡のようなきれいさはなかった
もちろんモチーフも白くなったが 泡のようなきれいさはなかった
「少し予定が狂ったなぁ」と思いつつ 私はそのまま帰り翌日大学へ行くと同級生が騒いでいる
アトリエに置いてあった皆の画材も粉末が掛かり白くなっている
アトリエに置いてあった皆の画材も粉末が掛かり白くなっている
助手が来て「誰がやった!」と言うので「俺です・・・」と答えた
教官室へ呼ばれると2人の担当教官がいて 年配の教官が開口一番
「また君か! 他人の画材を汚して良いと思ってるんですか!」
「また君か! 他人の画材を汚して良いと思ってるんですか!」
すると若い教官がすかさず「君は欲求不満じゃないのか?噴射したいんだろ?」
「そうなんです」と私が答えたので教官2人は笑った
「そうなんです」と私が答えたので教官2人は笑った
若い教官がフォローしてくれたので 年配の教官は
「まあ今回は大目に見ましょう でも今度問題を起こしたら退学してもらうことになりますよ」
と私に釘を刺した
「まあ今回は大目に見ましょう でも今度問題を起こしたら退学してもらうことになりますよ」
と私に釘を刺した
苦労して入ったのに退学になっては元も子もない
私はアトリエへ行き 画材に被った白い粉末を拭く同級生たちに謝ったが
皆の態度は冷ややかだった
皆の態度は冷ややかだった
これが その時の絵である