6) 急性アルコール中毒

3年生になった新年度 デザイン科主催の新入生歓迎パーティがあり
中庭に設置された舞台の上で一気飲みが行われていた

大きな盃に日本酒1升が注がれ飲み干すのである

私はパーティ会場へ行く前 油画のアトリエでビール大瓶を10本くらい空けて かなり酔っていた
そして 舞台上で一気飲みをする新入生が次々とギブアップしたので 野次を飛ばしたのである

すると司会者が「じゃあ そこの方やってみてください」と私を指名した
酔って気が大きくなっていた私は「よーし やってやろうじゃないか!」と舞台に上がった

渡された盃は直径50cmくらいだっただろうか 思ったより大きく重かった
そこへ1升ビンから日本酒が並並と注がれた

不安がよぎったが「ええい!ままよ」と飲み始めたが さすがに1升の一気飲みはきつい
最後の方は 横から溢れてしまったが 一気に飲んでしまった



記憶はそこまでだった

次に覚醒した時 私は無意識に同級生の名前を呼んでいた
すると その同級生が現れてこう言った

「大丈夫か? 昨日はすごかったんだぞ 救急車が10台くらい来て
 お前も乗せられそうだったんだけど 油画の連中でようやくここへ連れて来たんだ」

そこは大学近くの同級生の下宿だった
そして 私が記憶を失っていた間の出来事を教えてくれた

それまで 殆ど話したこともなかった同級生の名前が次々と挙がった
「そうか あいつも俺を助けてくれたのか・・・迷惑を掛けたんだなぁ」と反省した



翌週からは 古美術研究旅行で2週間 奈良の研修施設に滞在するカリキュラムが始まった
各自現地集合で 私は現地へ着くと 私を介抱してくれた同級生ひとりひとりにお礼を言った

すると同級生たちは「大丈夫だったか?」「生きてて良かったな!」と親しく答えてくれた
これを機に 私は今まで疎遠だった同級生たちと急速に親しくなった