参考書の訪問販売

大学に合格した19歳の春
高校時代の親友に連絡して また一緒にバイトしよう と言ったら
お前とやると ゲームセンターで金が消えるからお断り と言われた

何かいいバイトない? と聞くと
親友は 参考書の訪問販売のバイトを紹介した

中学校の教師が使っている参考書というふれこみで
学校の授業がよくわかるようになるという・・・

基本5科目で20万円位だった と思う
これも完全歩合制・・・ 1セット販売して3万円の報酬
販売会社の事務所へ行くと 営業成績グラフが大きく掲示されている

販売数の多い人は月20セット位 60万円の収入だ
日に4、5セット売れるときもあるらしい

セールストークを教えられ 販売する地域を指定された
販売ツールと名簿と地図を渡され いざ出陣

午後から回り始めて 3軒目に購入申込書を取れた
お母さんに説明をしているとき 丁度息子さんが帰宅
少し出来の悪いお子さんだったようで 参考書を見せると
これはいい! ということで お母さんは即決

私は事務所へ戻って報告すると そこのチーフは
君 初日は取れない人が多いのに すごいよ
明日からもがんばって! と私を持ち上げた

しかし 翌日はゼロ その翌日もゼロ ゼロ ゼロ ゼロ・・・
もう1セット売れるまでやろう と続けてみたが
2週間やって1セットも売れなかった

私が売った家庭からの入金があったというので 私は3万円を受け取って辞めた
1日で辞めればよかったと後悔しても 費やした時間は戻ってこない



(余談)
私のバイト遍歴の中で 最も嫌な部類の仕事だった
そのとき買ってくれたお子さんの成績が上がって
よりよい高校 大学へ進んだらいいな と ずっと願っていた