欲望その7の8(愛さんのお返し)

「夢さん 大丈夫ですか?」

「んー さっちゃん? じゃないか・・・」

「私です 愛です」

「アイー? え 愛さん? どうして? あー そうかぁ ガラス玉が」

「すみません 驚かせて」

「ああ びっくりしたー 遠くにあったと思ったら いきなり目の前に来て」

「旦那と息子も あの日 驚いていました」

「それで・・・ どうなった? 怒られた?」

「いいえ それどころか かなり気に入ったようで・・・
 息子は構造がきれいだって言って いろいろ調べて・・・」

「それで?」

「新しいの造ったんです ひと回り大きいのを」

「ああ それがこれかぁ」

「はい それで夢さんに渡してくれって・・・」

「いいの? これもらっても」

「ええ いくらでも造れるって言ってますから」

「でも びっくりしたよー」

「ええ 驚かせてやれ って」

「しょうがないなー・・・でもさー 
 飛ぶなんてすごいよね! どういう仕組みなの?」

「よくわからないんですけど 反重力装置が付いてるみたいです」

「反重力装置? 実用化していないんじゃない? まだ」

「でも 飛行機は空を飛びますよね」

「ああ あれは物理的に理解できるでしょ」

「ここは夢御殿ですから 物理は関係ないんですって・・・」

「まあ そうだね・・・」

「概念としては 地球の磁場を増幅して 反発させて浮くらしいんです」

「何よー よく理解してるじゃない」

「それくらい わかりますわ」

「でもさー それじゃあ不安定じゃない?」

「ですから 補助としてジェットエンジンを積んでるみたい」

「あー だったらわかる! ん? 何 この音?」

「ああ ヘリコプターが 向こうから・・・」

「さっちゃんだなー 来ないって言ってたのに・・・」

「ちょっとー! 御殿さん! 大丈夫なら電話してくれてもいいんじゃない?」

「あー さっちゃん 今 気が付いたのよ・・・でも パーティ行くって言ってたじゃん」

「あのなー 人の気も知らんと」

「何 人の肝 って?」

「キモ じゃなくてー 気持ち!」

「ああ キモチね どんな?」

「もう ええわ」

「あのー すいません 夢さん 私 そろそろ」

「あっ 愛さん 行くの?」

「ええ 帰らないと もう すっかり遅くなって」

「おーおー いい雰囲気だこと」

「さっちゃーん 違うって言ったじゃん」

「何のことですか?」

「何でもないよ この人 ちょっと」

「ちょっと何よー 御殿さん」

「まあ お二人は仲良しなのね」

「そんなんじゃないわ!」

「まあ あなたって可愛いわね」

「え え 何 カワイイ?」

「はい とっても・・・」

「聞いたー 御殿さん! 可愛くてステキなレディだってー アタシー」

「素敵なレディとは言ってないんじゃない」

「そうだったぁ? 愛さん」

「え えー かも?」

「でも さっちゃんは素敵だよ ね? 愛さん」

「ええ 自然体って感じ」

「天然 ってこと?」

「そうそう」

「違いますよー 夢さん 生(き)のままの姿が美しいってことです」

「さすがー ミュージシャンって アーティストより 話 わかるわー」

「あのー そろそろ帰ります」

「じゃあ 私のヘリで送ります」

「え? 縁?」

「ちゃうちゃう ヘリコプタア・・・(御殿さんといい勝負ねー( ̄▽ ̄;)やっぱ芸術系は違うわ)」

「何がぁ?」

「えー あー パ パイロットさん 行くよー」

「さちさん いいんですか? 乗せてもらって?」

「ええ ええ もちろんですとも 愛さん! ミュージシャンでしたよね♪
 今度 うちのスタジアムでコンサートやってください」

「え? スタジアムって?」

「中央駅前の」

「あのスタジアムで?!」

「はい あれは私のスタジアムですから おーほっほっほ!( ̄▽ ̄)」

「ぜひ お願いします」

「じゃあ 打ち合わせしましょ♪」

「はい♪ じゃあ うちで・・・主人を紹介しますから」

「ということで 御殿さん ちょっと行って来ますねー」

「いってらっしゃーい」

「夢さん ありがとう! コンサート来て下さいね♪」

「ああ 行くよ 必ず」